青木旅山「おくのほそ道」最終章
清秋の旅 其の三、敦賀~大垣
■10月27日(歩33km)
芭蕉はここから馬で大垣に向かい、その間は何も書いていない。
私もここからは旅の記録は残さずゆっくり大垣に向かいたい。

その前に、ひとことご挨拶申し上げます。
毎日の旅日記は最初は病に伏す友人からの強い要望からでした。
途中からはひとつぐらい何か自分が生きた証を残したい、奥の細道は運命の道と思う様になりました。
歩き終えて宿に入る頃には足が痛くて、もう無理だと思ったことが何度もありました。
耳が遠く目はかすみ、頭も老化が進みご心配をかけましたが、この旅を応援し見守ってくださった皆さんの言葉が大きな力になり歩く事が出来ました。
また、危険な山中を案内してくださった研究会などの手厚いバックアップやご助言、行く先々で出会った方々の親切や温かい励ましを忘れることはありません。
とぼとぼ歩く私に車を止めて声をかけてくださったお名前も知らない方々、お気持ちは本当にありがたく心の中で何度も頭を下げました。
皆様に心から御礼申し上げます。
ほんとうにありがとうございました。
(以上、旅山)

こうして旅日記は終わる。
この後31日までの5日間は、(画像以外は)私の想像である。

mountain
日本海に別れを告げ、内陸部に入る。
県境に近い曽々木辺りまでは多少青空も見えていたが・・。

mountain
滋賀県に入った。
国道8号線をひたすら南下して行く。

bashokita
20km強、5時間ほどかかってようやく琵琶湖の北端、塩津浜に達した。
水辺に出るとやはりほっとする。

bashokita
長浜市に入る。
ここからトンネル2連発だ。
まず藤ヶ崎トンネル。

bashokita
狭く暗く騒々しいトンネルを抜けると、別世界が広がった。
入り江の塩津浜よりも雄大な水平線が開けている。

bashokita
ほっとするもつかの間、さらに厳しい賤ケ岳トンネルが待ち構えている。
琵琶湖一周サイクリングでも、ここは難所として知られている。
消えかけた白い線の内側が車以外の通路なのだろうが、何しろ狭い。すれすれを車がひっきりなしに通り危険がいっぱい。その騒音は半端なく、抜けた頃には耳がおかしくなっていた。

bashokita
長浜方向から来たなら、トンネルを抜けたご褒美に雄大な琵琶湖を望む。
しかし今回は逆コース。

bashokita
敦賀から木之本はgoogleMapだと28.6km、6時間37分。
快適な和風の宿と美食が最大のご褒美だったのではなかろうか。

◆行程:敦賀→疋田→塩津浜→木之本草野旅館泊
◆経費:朝食480円/飲物301円/昼食1,000円/夕食1,320円/洗濯1,300円/宿10,500円//計14,901円


■10月28日(歩20km)
木之本連泊でゆっくり観光した。

kasnebashi
ホテルから1時間ほど歩き、奥びわ湖エリアに来た。

nasujinnja
琵琶湖の北東約1kmにある一周6.4kmの余呉湖。
湖面が穏やかなことから「鏡湖」の別名がある。

kasnebashi
古い町並みが残る北国街道。
木之本宿は地蔵院の門前町として栄えた宿場町だ。

kasnebashi
その木之本地蔵院は日本三大地蔵のひとつ。
境内に立つ6mの地蔵は日本最大だが、本尊は秘仏で滅多に開帳されない。

kasnebashi
長浜市内を流れる余呉川。

kasnebashi
木之本で連泊の旅館で英気を養う。
ちょっと頬がこけているかな・・・。

◆行程:木之本→余呉湖→木之本泊
◆訪問地:木之本宿場、雨森芳州庵、渡岸寺
◆経費:列車390円/飲物180円/昼食650円/宿16,200円//計17,420円


■10月29日(歩20km)
nanohana
再び国道8号を南下。
姉川を越えれば長浜の宿にはあと1時間ほど。

nanohana
長浜中心部に入った。
織田信長の配下時代に秀吉が築城した長浜城。

nanohana
長浜大手通り商店街。
北国街道沿いに続く古い街並は「黒壁」が特徴だ。

nanohana
明治時代の銀行を改装した「黒壁ガラス館」を中心に、ガラスショップや工房、ギャラリー、体験教室、レストランやカフェなどが軒を連ねている。

◆行程:木之本→河毛駅→長浜駅→長浜黒壁スクエア→ホテルグランドメルキュール泊
◆訪問地:長浜城
◆経費:交通費540円/飲物603円/昼食1,380円/夕食419円/宿12,150円//計15,092円


■10月30日(歩22km)
nanohana
ホテルはハワイ風に言うならレイクフロント。
見かけによらず宿泊代は高くない。

nanohana
久々に天気も良く、琵琶湖の湖畔散策を楽しんだ。
6月9日の新潟入りからずっと歩いてきた国道8号線とはここで別れとなる。

nanohana
名残惜しい水辺に背を向け、東へ向かう。
石田三成の供養塔を訪ねた。

nanohana
伊吹山を見ながらさらに東へ歩を進める。

nanohana
関ケ原古戦場。
旅山の戦いも秋晴れの中で終わろうとしている。

◆行程:琵琶湖畔散策→伊吹山
◆訪問地:石田三成屋敷跡、供養塔、関ヶ原古戦場
◆経費:バス代340円/昼食850円/飲物160円/列車1,230円//計2,580円


■10月31日(歩20km)
nanohana
そして遂にこの日を迎えた。
ここは大垣、「むすびの地記念館」前。
旅山の旅を見守った人々が続々と集まってくる。

nanohana
10月31日15時。
万感の思いをこめて、
青木旅山、凱旋!