青木旅山「おくのほそ道」第二章
緑風の旅 其の二、尾花沢~羽黒山
■5月18日(歩27km)
芭蕉達が7泊した養泉寺、芭蕉清風歴史資料館を見学した後、炎天下を20数km歩き、東根の宿へ。

mountain
芭蕉清風歴史資料館にて。

bashokita
芭蕉が七泊した養泉寺、涼し塚。

bashokita
天童の手前のひがしねユースホステルに宿泊した。
近くの天童温泉にご案内頂き、料理も美味しく一泊2食付で5700円。
大学時代にユースホステルクラブに属していた事もあり大変懐かしく嬉しかった。
今も当時の部員仲間と親しく交流、旅日記も7人に送り、暖かい励ましの言葉を頂いている。
彼らは何ものにも代え難い、私の宝です。

◆今日の句:
「涼しさを我宿にしてねまる也」
「這出よかひやが下のひきの声」
「まゆはきを俤にして紅粉の花」

◆行程:尾花沢→→東根ユースホステル
◆訪問地:芭蕉清風歴史資料館、養泉寺、居合神社
◆経費:交通費10,000円/入場料210円/飲物600円/昼食1,450円/宿5,700円/温泉250円//計18,210円


■5月19日(歩11km)
ユースホステルに連泊。天気も良かったので蔵王観光の一日とした。
山形駅からバスが1日2便のみ運行。列車が遅れ、信号待ちしていたバスに飛び乗った。

kasnebashi
アイスランドのようだ。

nasujinnja
山頂に近くなるにつれ残雪があり、幸いガスも無くて美しい山脈が徐々に広がった。

kasnebashi
御釜を色んな角度から眺め、刈田岳(標高1759m)山頂へ。

yoichi
蔵王温泉の大露天風呂に下った。
強烈な硫黄の臭い。湯はぬるめ、熱めのふたつに分かれていた。
新緑を楽しみながら湯ったり至福の時を過ごした。

◆行程:東根→山形駅→蔵王御釜→蔵王温泉→東根
◆経費:交通費5,250円/昼食1,600円/飲物460円/洗濯500円/宿5,700円//計13,510円


■5月20日(歩21km)
雨のちくもり。
あまりにも有名な句が詠まれた山寺を訪ねた。
その後かみのやま温泉へ移動し材木栄屋に宿泊した。
木の香の宿で103年の歴史ある宿、温泉は無色、無臭でなめらかだった。

nanohana
将棋で有名な天童駅。

nanohana
雨の中、まずは天童の芭蕉句碑公園を目指した。
東北から北海道をひとり旅した英国人女性のイザベラ・バードを始め田山花袋、志賀直哉の記念碑を見つけた。

nanohana
山寺に向かう途中、石倉で作られた芭蕉句碑。

nanohana
5時間歩いて山寺(立石寺)に着いた。
折よく雨もあがる。

nanohana
3年前の秋以来4回目、芭蕉の有名な句碑。
句をしたためた短冊が納められている。

nanohana
1015の石段を登り奥の院で参拝、五山堂からの眺めを楽しんだ。

nanohana
夜、上山城に出かけた。

◆今日の句:
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」

◆行程:東根→天童駅→石倉→山寺→かみのやま温泉
  ◆訪問地:織田信長命神社、芭蕉句碑公園、石倉芭蕉句碑、山寺、上山城
◆経費:飲物420円/昼食1,090円/入場料他424円/列車代506円/飲物1,280円/宿7,630円//計11,350円


■5月21日(歩12km)
nanohana
紫衣事件で流罪となった沢庵禅師の「春雨庵」

nanohana
武家屋敷。

nanohana
上杉と戦いを繰り広げた「上山城」

nanohana
その後約1時間歩いて上山出身の「斎藤茂吉記念館」を訪れた。
広い館内に約2時間いたが誰も訪れる人は無し、館員との談義が楽しかった。

nanohana
山形城の二の丸、最上義光の騎馬像。
見事な快晴!
この後、大石田に向かった。
気温も日々上昇中。

◆行程:かみのやま温泉→山形市→大石田
◆訪問地:春雨庵、上山城、斎藤茂吉記念館、山形美術館、山形城
◆経費:列車879円/昼食650円/飲物600円/入場料2,100円/洗濯500円/宿8,500円//計13,229円


■5月22日(歩23km)
暑い。暑くなった。
日中、重いリュックを背にこのまま歩けば倒れるのは必定。
以下の対策を打ちたい。
①宿は3日先迄予約、大きなリュックを送り、身軽に歩く。
②熱中症対策として、当面の間8時〜12時、15時〜18時を歩く時間と限定。
ご心配をおかけしたが、腰痛はかなり良くなったのでご安心下さい。

nanohana
斎藤茂吉が眠る乗船寺にて墓参り、裏庭には彼が師事した正岡子規と並んで句碑があった。

nanohana
芭蕉はここ大石田で3泊。
最上川べりの高野一栄亭で句会が開かれた。
この時芭蕉はこう詠んだ。
「五月雨を集めて涼し最上川」
この時点では「早し」ではなく「涼し」だ。
この年、東北から北陸では異例の暑い夏だったそうだ。
ちょうど今年、令和六年と同じだ。

nanohana
新庄に向かってゆっくり歩を進めた。
美しい午後の最上川。

◆今日の句:
「五月雨を集めて涼し最上川」

◆行程:大石田宿→新庄
◆訪問地:乗船寺→高野一英亭跡→聴禽書屋
◆経費:宅配1,750円/列車440円/飲物370円/昼食800円/夕食950円/宿6,600円//計10,910円


■5月23日(歩17km)
新庄では芭蕉は豪商の渋谷家風流亭で2泊して句会を開いた。
さて、深川から歩き始めた距離が丁度1000㌔に達した。
腰痛で屈むと痛くて靴の紐を結ぶのも大変だったが、今はかなり良くなった。

nanohana
新庄市は東北地方の中心部に位置し、最上川、鉄道・国道網による「東北の十字路」として栄えてきた。
また、鳥海山と月山の両方が見える贅沢な場所でもある。
新庄から望む両山は真夏でも雪が残っている(越年雪、万年雪)。

nanohana
2016年、新庄まつりはユネスコ無形文化遺産に登録された。
260年以上の歴史を誇り圧倒的なスケールで見る者を魅了する新庄まつりは、東北の夏を締めくくる風物詩だ。

nanohana
新庄では観光案内所の対応も素晴らしく、又ホテル経営者夫婦にも家族同様に接して頂き大変お世話になった。
何も知らなかった新庄がすっかり好きになった!!

nanohana
駅の地図を眺めていたら真室川が目に入った。
三味線の真室川音頭を聞きながらひとり祝杯を上げたくなり駅構内の観光案内所に相談。
早速、真室川温泉の梅里苑に電話した。
満員で食事の準備もあり当日申し込みは出来ないと断わられたが… 

nanohana
最終的には私の思いが通じたのか?
三味線弾きの横に特別に席を用意して頂きフルコースの食事を楽しむ事が出来た。

momomatsuri
久しぶりに聞いた真室川音頭、楽しい宴も終わりほろ酔いで帰路に就いた。
誰もいない無人駅、満月が心に沁みた。

◆行程:新庄→舟形→新庄駅→真室川温泉→新庄泊
◆訪問地:氷室の清水跡、「風の香」句碑
◆経費:宅配1,750円/列車1,060円/タクシー1,720円/昼食650円/温泉450円/飲物2,140円/夕食6,500円/洗濯500円/宿6,500円//計21,270円


■5月24日(歩21km)
nanohana
お世話になったホテルで記念撮影し、出発。

nanohana
曇り、摂氏21度、予定通り10時半には芭蕉が乗船した本合海に着いた。
雨を心配しながら戸沢藩船番所の古口港まで急いだ。

nanohana
大雨となり、最上川ライン下りの乗客は私ひとり。

nanohana
案内人は船頭役者だが東北弁で中々聞き取れない・・・笑。

nanohana
雨の中、私ひとりの為に舟を出してくれた。

nanohana
五月雨で少し増水した最上川。
清川に向かう舟の中で、芭蕉は数日前の句を「涼し」から「早し」と詠みかえた。
300年前のその日も、こんな流れだったのだろうか。

◆今日の句:
「五月雨を集めて早し最上川」

◆行程:新庄→本合海→古口港…最上川ライン→松山温泉
◆経費:飲物260円/昼食980円/舟代2,800円/バス代650円/宿9,600円//計14,290円


■5月25日(歩30km)
芭蕉のおくのほそ道も距離的には羽黒山で半分。
今日歩いた30kmで合計1058kmになりました。
目標は変わらず大垣に芭蕉と同じ142目の8月8日に着く事、2000km完歩を目指したい。

nanohana
最上川を下った芭蕉が上陸した清川。

nanohana
雪の残る美しい鳥海山を何度も振り返りながら、20km歩いて羽黒山麓の宿坊へ向かう。

nanohana
羽黒山の山門まで来た。

nanohana
羽黒山の三神合祭殿までの2446の石段。
杉並木、国宝五重塔などを見ながら約1時間、頑張って登った。

nanohana
3年前、大学時代のサークル仲間と月山登山を始め湯殿山、羽黒山の出羽三山を回った時と同じ宿坊。
羽黒山は現在、月山は過去、湯殿山は未来の山として、江戸時代は(生まれかわりの旅)として庶民の間に広がった。

momomatsuri
夕方ほとんど人がいない中、白装束の道者5人の鈴と読経が心に残った。

◆今日の句:
「有難や雪をかほらす南谷」
「涼しさやほの三か月の羽黒山」
「雲の峰幾つ崩れて月の山」
「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」

◆行程:松山温泉→清川→羽黒山麓→羽黒山登頂→羽黒山泊
◆経費:宅配1,850円/飲物他150円/昼食800円/宿10,340円//計13,140円