氷河、ピラミデン、バレンツブルク
さてロングイヤービエンから2つのボートツアーのうちの一つ目、ピラミデン。
このボートです。最少催行8名ですが、この日は30人くらい乗っていました。
雲と海がくっつきそう、いや雲に飲み込まれそうな光景です。
天気は昨日からずっとこんな調子です。
昨日と違い小雨が降っていないだけマシか。
しかし、ガイドによれば、これは”パーフェクト・ウェザー”なんだそうです。
こんな感じの山がずっと海に迫っています。
真ん中から下がドレスのドレープみたいに見えます。
海の上はさぞかし寒いと思ったので予め防寒具を借りたいと申し出ていました。
ボートにあるのは数が限られサイズは大抵大きすぎるので、ご自身で用意したほうがよいでしょう。
船内には座れる場所が充分にないので、しっかりした装備が必要です。
ガイドは特別な目を持っているので、ほれそこにトナカイが、イルカがとか言いますが点のようにしか見えません。
しかしこんなところにもトナカイがいるとは。
さすがにここにはサーミもいないと思うので、希少な野生です。
鉛のような海のほかに見るものがないので、ひたすら岩山を見つめていました。
見れば見るほどすごい自然の造形です。
ランチタイムになりました。
この船はフィリピン船籍で、キャプテンもスタッフも朗らかなフィリピン人でした。
バーベキューの内容は、ミンククジラとサーモンとライスというシンプルなものでしたが、船の上で食べるとウマイんですなあ。
特にサーモンはどこのレストランで食べるより美味しいもので、国際色豊かな客層でしたが全員同意見。
しかしクジラは半数の人は何らかの理由で食べなかったみたい。
初めて食べるというギリシャ系オージーは、単に口に合わないと言ってました。
私はクセがなく柔らかくて美味しいと思いましたが。
ランチ後まもなく氷河が見えてきました。
海に注ぎ込む、タイドウォーターグレイシャーです!
アラスカではこのタイプの氷河が多いですが、ヨーロッパでは無いと思います。
小規模な崩落も見られました。
そしてガイドの”パーフェクトウェザー”の意味が分かりました。
この曇り空こそが、グレイシャーブルーを引き立てるのです。
それから空模様ばかり見て気づかなかったことは、「風がない」こと。
風がビュービュー吹いていたらとてもデッキになんか出ていられなかったでしょう。
いやー、氷河を堪能しました。
こんな素敵な寄り道があるとは。
ガイドがベルーガの群れを発見。
岸辺近くに点のように見えますがなかなか近づけません。
そしてこのツアーの目的地、ピラミデンに到着。
バスとガイドが見えます。
ピラミデンへのボートツアーは一番人気があるそうです。
ロシア人が作った炭鉱の町で、廃鉱して無人と化した町がそのまま残されているのが何とも興味をそそるのでしょう。
”Welcome to Russia"
ガイドをしてくれるのはこの町の管理人であるロシア人、サーシャ。
背負っているのはライフル。
決して散らばらず、必ず固まって歩くように指示されます。
物陰にシロクマが隠れていて、ふいを襲われる可能性があるためだそうです。
マジ?
ガイドの案内でいくつかの建物に入ります。
これは学校。
かつては1200人が住んでいたそうで、住居や公共施設などの建物がそのままになっています。
人類滅亡もののSF映画の世界のようです。
1998年に廃坑となった後も、この町はロシアの企業が所有しているんだそう。
サーシャが言った"Welcome to Russia"はそういう意味なのか、或いはタイムスリップを暗示しているのか。
ツアーの終わりに入った建物は、暖房も電気もありました。
唯一の生存者に出会ったような気分で、皆カウンターに集まり。。。
やはりここはウォッカ。ショットグラスでクイッとやります。
ここで宿泊もできるそうで、イスラエル人ライターが早速予約したと言っていました!
しかし定期便がある訳じゃなく、ボートツアーが催行しなければいつ帰れるかわからないんだそう。
翌日、今度はバレンツブルクへのボートツアー。
今日も曇天で風がない、"パーフェクト・ウェザー"です。
今日も氷河へ寄ります。
昨日のより少し厚みがある感じ。
バレンツブルクへ到着。
ここを発見したオランダ人探検家の名にちなんでいます。
ここはピラミデンと違い現在も採掘が行われていて、約500人のロシア人(殆どが)が住んでいます。
建物が海に面した高台に建っています。
住宅と公共施設、ホテルまで。
ロングイヤービエンからわずか55kmなのですが道路が無いので海からアクセスします。
ヘリポートはありますが、住民の緊急用です。
ここでもサーシャみたいな30代くらいのイケメン男子が出迎えてくれます。
アークテリクスを着てました。
船着場から高台にある町へ歩いて向かいます。
途中、海に近いところほど古い建物があります。
急斜面にボードウォークと階段があり、上の町とを結んでいます。
どっかに似てる、どっかに似てる・・・。
FF6のナルシェ炭鉱だ!
階段を登りきって振り返る。
やっぱここもロシアですね。
ここは学校。
若い家族が多いので、必須の施設でなかなか立派です。
世界最北のビール工場です。
ここはガイド力説!
"トロムソのマックビールが世界最北って自称してるみたいだけど、真の世界最北はここですよ"
"ホテルのバーでここのビールも飲めますからぜひお試しを"
ちょっとフリータイムができたので、早速ホテルへ行ってみました。
きれいな中級クラスのホテルです。
2Fのバーで早速一杯。
昨日のボートツアーでも一緒だったオージーのオジサンがコーヒーを飲んでいた。
"あのね、オーストラリア人が皆ビール飲むわけじゃないんだよ"
そりゃそうだよね。私だって日本酒飲まないしね。
暖流の海のようにマイルドでとても美味しいビールでした。
ギフトショップもありまーす。
この隣には立派なカルチャー&スポーツセンターがあり、住民は無料で利用できるとのことでした。
無いものと言えば、病院。
え!と一同。
ガイドいわく、恐らく住人は若い人ばかりだからではないかと。
そして大抵3年くらいで本国へ戻るそうです。
ボートツアーの難点は時間がかかること。特にピラミデンは長かった。
行きはデッキで景色を見ながら過ごせるけど、帰りはもう暗くなってくるので2時間以上も狭い船内で過ごさなければなりません。
船内は、6人掛けのシートが両側に3列、この他に8人くらい入れる小部屋が2つ。
プライバシーが保てる場所はないので、ここは社交的になって話でもして過ごすしかない。
熱い飲み物やスナック類は売店で買えます。
カードも使えます。
結構繁盛していましたね。
まあコーヒーくらい無料でほしいけどね。
キャプテンが話しかけてきた。
そういやお宅の(フィリピン)大統領、日本でもすごい話題になってるよと言うと満面の笑みでガッツポーズ。
支持率91%だもんねー。
総括すると、
1)観光産業は急速に発展しているのを肌で感じました。
10月という時期の個人旅行の目線で見た限り、市内でもボートツアーでも若い人が多く、カジュアルな宿泊施設がどんどん増えています。
2)ロングイヤービエンでは地元の人も土着の文化も存在しない一種のドライな感じ、また町の外では領土はノルウェー・炭鉱はロシアに属すという無国籍感が独特でした。
3)緯度の割に観光シーズンが長く(3-10月)、オスロ・トロムソから直行便がありアクセスは大変便利!
帰路は04:10発のフライトに乗ってオスロからはKLMでアムステルダム乗継で、日本へ同日接続ができました。
夜中の2時半でもエアポートバスは運行しているし、空港ではカフェテリアも営業しています。
今回はトロムソ経由便だったため、荷物は一旦トロムソでピックアップしてすぐドロップアウトしました。
写真はアムステルダム、スキポール空港。
今回KLMにしたのは、2016年秋からサービスを開始したアラカルトメニューを試したかったためです。
メニューは色々選べて12ユーロから。写真はインドネシアン・ライスディッシュ。
機内食はあまり満腹になることはないですがこれはすごいボリュームで、一皿ごとに丁寧に作ってあり美味でした。
事前予約が必要ですがネットで簡単にできるのでぜひお試しを!
KLMはエコノミーでも足元が広い座席やクワイエットゾーン等、少しの追加代金で快適に過ごせるサービスが色々用意されています。
それとエコノミーでも食後にリキュールが飲めたり、きめ細かなサービスで個人的には評価の高いエアラインです。